【読後感想1冊目】「超」入門失敗の本質

読書感想文です。

 

今回はビジネスマンの必読書的扱いをされている「失敗の本質」をよりわかりやすく、エッセンスをまとめたこの本です。

 

「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

 

 

大東亜戦争で起きた日本軍の組織的失敗が、現代の企業組織でも同じような過ちを繰り返していることをわかりやすく解説。

その螺旋から抜け出すためのどんな視点や思考を持ち、行動していくかをまとめた本。

戦争自体の難しい話はなく、わかりやすく抽出した事例をもとに吸収しやすい無いように編集されている。

 

特に気になったキーワードを抜粋。

・戦略は追いかける指標のこと。戦略の失敗は戦術ではカバーできない。

・有効な指標を見抜く「指標の設定力」こそが最大のポイント。

・「体験そのものの再現」に執着すると、これまでの勝利と同じ型を追いかけることになる。

・プロセス改善とは、スタートとなる志向・方法を同じままに過程を最大限改善する作業でしかない。

愚かなリーダーは「自分が認識できる限界」を、組織の限界にしてしまう。逆に卓越したリーダーは、組織全体が持っている可能性を無限に引き出し活用する。

自己革新型組織の原則は、「安定という均衡状態に変化を与える」

 

以下では、本質的であると感じたものを引用します。

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戦略とは追いかける指標のこと。戦略の失敗は戦術ではカバーできないので、有効な指標を見抜く“指標の設定力”こそが最大のポイント。指標を正しく決めることで「目標達成につながる勝利」を決めることになる。

 

「体験的学習」で一時的に勝利しても成功要因を把握できないと、長期的には必ず敗北する。指標を理解していない勝利は継続できない。

戦略が追いかける指標と理解せず、体験的学習による勝利の結果を戦略であると勘違いている器量は、自社が売り上げを増加させた理由を「ヒット商品が出たから」等、極めて曖昧な形で誤解していまうことが頻繁に起こる。「戦略となる指標」ではなく、「体験そのものの再現」することに執着すると、目の前の勝利と同じ型を追いかけることに繋がります。

 

失敗の本質から見える現代日本企業の弱点の本質

・前提条件が崩れると新しい戦略を策定できない

・新しい概念を想像し、それを活用するという学習法のなさ

・目標のための組織ではなく、組織のための目標を作りがち

・異質性や異端を排除しようとする集団文化

 

創造的破壊を生み出す3つの要素

①「人と組織」の極めて柔軟な活用による自己革新

②「新技術」の開発による自己革新

③技術だけでなく「技術の運用」による自己革新

 

プロセス=「過程、経過」と考えると、過程を洗練させる「プロセス改善」とは、スタートラインとなる「思想・手法」を同じままに、その過程を最大限改良することで、結果をより良いものにしていく作業だと考えることができる。

ダブルループ学習とは、「想定した目標と問題自体が違っている」のではないか、という疑問・検討を含めた学習するスタイル。接客以外に売り上げ現象とい売り上げ改善に要因があるのではないかという、目標や問題の基本構造そのものの再定義をすること。ただし、前提として現場が直面している問題を組織の上層部や決裁権者が正確に理解することが前提。

 

イノベーションを創造する3ステップ

①戦場の勝敗を支配している「既存の指標」を発見する

②敵が使いこなしている指標を「無効化」する

③支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う

一連のイノベーションの実現は、優位である敵が持っている指標をまず見抜くことが必要であり、その指標を無効化する方法を探し、支配的だった指標を凌駕する新たな指標で戦うことで成し遂げられる。

→日本の家電メーカー「機能や価格」、AppleMicrosoft「プラットフォーム戦略」

 

体験的な学習が陥りがちな、成功体験の単なるコピーではなく、対象の中に隠れて存在する「戦略としての指標」を発見する思考法になれるべき。

 

戦略を「以前の成功体験をコピー・拡大生産すること」であると誤認すれば、環境変化に対応にできない誠意新常態に陥る。「型のみを伝承」することで、本来必要な勝利への変化を全否定する歪んだ集団になってしまう。「常に勝利の本質」を問い続けられる集団を目指すべき。

 

日米軍の組織運営を対比する中で、最も悲劇的な違いは「新たな戦略が発生する場」を日本の上層部、リーダーが完全に勘違いしてたこと。現場最前線での戦闘、そして組織内の隠れた優秀者を引き上げることで生まれる新しい発想。

米軍は作戦立案をする中央の作戦部員が、現場感覚と最前線の緊張感を常に失うことなく侵攻に邁進できた。現場の体験、情報を確実に中央にフィードバックし、目標達成の精度と速度をさらに高めていく仕組みを作ることが重要である。

 

評価制度の指標変更は、組織運営最大のイノベーション

①戦場で迅速な行動力と勝利への執念がある人物は高く評価される

②非効率で行動が遅く、成果を挙げない人物は降格される

→営業組織に同様のことが言える。目標達成への行動・スピードのアウトプットで評価が分かれる。

 

現代の激戦地とは、最も利益が期待できる市場。

正確な情報はトップには届かない。

現地・最前線の実情が、常に何重ものフィルターを通したあとでしか伝わらなければ、トップが正確な判断をすることはほぼ不可能。

トップの行動力は組織の利益に直結する。

問題意識の強さから、優れたアンテナを持つトップは、激戦地(利益の最前線)を常に自ら目と耳で確認すべき。

 

チャンスを潰す人の3つの特徴

①自分が信じたいことを補強してくる事実だけを見る

②他人の能力を信じず、理解する姿勢がない

③階級の上下を超えて、他者の視点を活用することを知らない

 

愚かなリーダーは「自分が認識できる限界」を、組織の限界にしてしまう。逆に卓越したリーダーは、組織全体が持っている可能性を無限に引き出し活用する。

 

自己革新型組織の原則は、「安定という均衡状態に変化を与える」

組織に緊張を想像する3つ

①客観的環境を主観的に再構成あるいは演出するリーダーの洞察力

②異質な情報・知識の交流

③ヒトの抜擢などによる権力構造の絶えざる均衡破壊

指揮を取る人間には「見たくいない問題を解決する覚悟の強さ」が何より要求される。

 

空気の醸成が生み出す2つ悪影響

①本来「それとことは話が別」という指摘を拒否する

②一点の正論のみで、問題全体に疑問を持たせず染め抜いてしまう

悪意をもって「空気の醸成を狙う」者が、大げさに振り回したテーマが、問題の全体像にとって何割程度の重要性を持つか、常に冷静に考えるべき。議論の影響比率を締め出してはいけない。

「空気」とは体験的学習による連想イメージを使い、合理的な議論を行わせずに、問題の全体像を一つの正論から染め上げてしまう効果を持つ。議論の「影響比率」を明確にし、意図的な「空気の醸成」が導く誤認を打ち破る知恵を身につけるべき。

 

都合の悪い情報を無視しても問題自体は消えない

方向転換を妨げる4つの要素

①すでに多くの犠牲がある、埋没費用を惜しみ、さらに悲劇を拡大させる

②未解決の心理的苦しさ、合意後は「今さら蒸し返すな」という気分になる

③誤った人事評価制度、愚かな判断をバッ製図、指摘を無視できる状況では暴走する

④幻想の共有、、安全性や採算性より、関係性を配慮するグループ・シンクに陥る

わずかでも自分自身の中に「結論に固執する」という執着があると気づいた場合は、マイナスの心理的影響化にあるのではないかと疑うことが重要。

 

コンティンジェンシー・プラン(万一を想定した計画)のない状態が招く2つの悲劇

①損害を劇的に増やす

②新たな損害を自ら生み出す

リスクをあらかじめ公表・周知することで生まれる2つのメリット

①リスクとされている事象に注意を払う人が増える

②リスクを理解していることで、不意打ちを避けられる

コンティンジェンシー・プランの概念において、「最終目標までたどり着けるかどうか」という判断基準は、極めて重要な意味を持つ。

リスクに対する3つのポイント

①最大限迅速に「早く」対応する

②何より「真実」を正確に早く把握する

③リスクを隠すのではなく「周知徹底」することで予防につなげる

リスクは「目を背けるもの」でも「隠す」ものでもなく、周知させることで具体的に管理させるべきもの。ビジネスでは、リスクを「かわす」のではなく、徹底して管理しなければ、存続していくこと自体が難しくなる。

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以上です。

 

久しぶりに戦略系の学びがあり、非常に面白かった。

日常でもこの視座・価値観を繋げていきたい。

 

ごめす